言葉は水物、すぐに死ぬ

月間10万PVありがとう。Twitterの話題を中心に「ちょっとこれ、どうなんだ」というネタに切り込んでいきます。      言葉が死ぬ前に、残しましょう。

買ってから2年間、怖くて封印していた漫画をついに読んだ話

お盆。

 

特に予定もなく、やることもない。

 

そんな中で、いい加減地獄の釜を開けよう、とふと思い立った。

 

特に意味はない。もう、開けようか、と、ただ思った、というだけ。

 

表題の漫画はこれである。

 

 

雑草家族 (ヤングジャンプコミックス)

雑草家族 (ヤングジャンプコミックス)

 

 

 

ちなみに、ホラー漫画とか、そういう怖さではない。

一般的に想像する「恐怖の作品!」でもなんでもない。

 

じゃあ、なんで2年間も封印していたのかということを、長々とつづっていこうと思う。

なんでこの作品が怖いかということは、この作家、この作品との出会いから書かなきゃならんので、多少長くなるので覚悟して読んでもらいたい。

よろしく願う。

 

 

目次

 ①この作家との出会い

 

出会いと言っても、別にリアルであったわけではない。

作品と出会った、というだけだ。

 

僕は昔から漫画は好きだが、いつも皆が知らない漫画を探したくて、いろいろ読み漁っていた。

でも、「皆が知らなくて、かつ面白い漫画」なんてものはそうそうない。

普通は、皆が知っていて面白い漫画、か、皆が知らなくてつまらない漫画、しかない。

 

たぶんそれは、「自分はめちゃくちゃ好きだけど世間的に面白くない漫画」なんではないかな、ともたまに思ったりしたけれども、自分が好きだと思った漫画がのちのち売れていったりするのを見ると、案外そうでもないなとは思っていた。

 

まあ、ともかく、漫画をいろいろ漁っていた中で、ジャンプ改という雑誌を手に取った。

理由はシャーマンキングが掲載されるから。

シャーマンキングを知らない人は、まあ半端に打ち切られた少年漫画、とでも覚えていてほしい。アニメ化までして人気もあったのに、なぜか打ち切られ、その後8年ほどしてようやく完全版で完結までいった作品である。

それが、また再度、青年誌で続きを書き始めるというのだ。

シャーマンキングがめっちゃ好きだったので、その雑誌に載るときにすぐ買った。

 

(参考)ジャンプ改 -Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E6%94%B9

 

刊行期間はたった3年の、ジャンプの名前を冠するわりには超短い、マイナー雑誌である。

 

とはいっても、今見ると筒井哲也「予告犯」や、今ジャンプ本誌で人気の「Dr.Stone」の作画Boichiの漫画、と、ちょいちょい目の付く作品はあるが、それ以外はさっぱりだった。

あと、Boichiの漫画も原作者なしで書いていたので、予告犯がまあ多少注目を浴びたか、くらいで、シャーマンキングがほとんどを占めているような状態であった。

 

んで、シャーマンキングの表紙のクオカードが当たる!!とかも雑誌でやってたから、即応募した。

 

そのハガキにアンケートを書く欄があるので、そこもしっかり書こうと思って(しっかり書いたら当たるかなと思った)、漫画を全部しっかり読み込んで、その感想をハガキいっぱいに書き込んだ。

  

(ちなみにちゃんと当たった)(画像が見当たらないので当時の歓喜ツイート貼る)

 

んで、そんなか目についたのが小路啓之「犯罪王ポポネポ」である。

 

 

 

気になる人は下記リンクから3話まで読めるから読んでほしい↓

ヤンジャン! 犯罪王ポポネポ(3話無料)

 

独特の言葉遣いで、漫画家なのに小説家か?と思わせるほど言葉選びとテンポがいい。

読み返していて面白い。

 

まあもちろん、当時一話だけ読んだ僕は「なんとなくおもしろそうだから応援しよう」

くらいのノリだった。

 

けどその「なんとなくおもしろそう」という感覚が、完ぺきな当たりを引いたのである。

 

とんとん進むし、絵柄のわりには心の芯をえぐってくる。

 

僕はすぐに作家さんのツイッターをフォロー。

過去作品も漁った。

過去作品は全部読んだ。

 

その中でさらに面白い作品に当たり、僕は犯罪王よりもむしろそっちが好きになった。

 

 

 

 

こっち2作品のほうがよっぽど面白かった。

 

犯罪王ポポネポが犯罪モノだったが、こっちは恋愛・家族モノ。

 そっちのほうが、この人は人を描くのがうまかった。

それを編集者も気づいたのか、その後連載が始まったのは家族モノだった。

 

最初はマイナーだから売れないのか?とも思っていた。

わりと童貞ひきこもりとか、マイノリティ向けに書いているような気がしていたから。

だから色んな人にも貸した。ともかく目につく知り合いには貸した。

でも貸した知り合いはみんな面白いと言ってくれた。

ここで、僕だけが面白いと思っているだけのクソマイナージャンルではなかったという安心が少しあった。

さらに、このあたりから作品の映画化の話が出てきたりして、一般向けの人気の兆しも見え始めてきていた。

 

たしかランクが低いながらも、「このマンガがすごい!」にも、30~40位くらいに入ったりもし始めていた。

 

 

さあ!ここからだ!!

 

そう思った。

 

小路先生が人気が出てくるのは、ここからだと。

 

だから応援し甲斐があった。

いくら読んでも好きな作品だったから、次が出るのが待ち遠しかった。

 

穴が開くほど読み返して次を待った。

 

②作家の死

waranote.livedoor.biz

(リンク切れにつきまとめサイトで失礼)

 

まあ突然だった。

特に前触れもない。

一緒にこの作家の漫画を読んでいた、僕の姉は「まるでこの人が書いた漫画みたいな死に方やったね」と言った。

そうだよ、いっつもそうだよこの人は、突然すげーもんぶっこんでくるんだけれども、ちゃんと伏線書いてるから否定しようがねーんだよ、否定しようもない現実を突如ぶち込んで心をぶっ刺してくるんだよ。

 

なんで人生でもそれをやってしまうんだよ。

 

病気でも休載でも、なんでもなくて、突然も突然。

こんなことあるんだあ、とぼやっと思った。

そもそもそうそうない、漫画家が事故でいきなり書けなくなるなんて。

いきなりこの世から消えてしまうなんて。

 

Googleで「漫画家 事故」で調べたら、2ページ目くらいにすぐ出てくる。

わはは。こんなところで有名になってどうすんねん馬鹿野郎。

 

なんでこんなところで貧乏くじを引いてしまうのか。

 

自分が愛した作品と作家は突如消え失せた。

 

そうして、なんだか応援する気も失せてしまって、最後に残した作品も、買ったまま、本棚にしまい込んでしまった。

もうツイッターエゴサして返信してくれる先生はいないし、ほかの人が知らない作品知っているんだぜとドヤ顔できることもない。ずっと昔から応援してたんだこの人、君ら知らないでしょ、へへへ、俺昔っから先生とツイッターで話したりしてたんだぜとか、有名になったらそんなことはなそうだとかなんだとか思っていたが、そんなものはない。

そんな未来は、ない。

クソ無駄なのだ。

なんとなく評価されない理由は分かっていた。

マイナーなのもそうだが、まだまだ作品としてイマイチまとまりに欠ける作品が多く、ただ、「ごっこ」や「来世で会いましょう」はうまくまとまった。という感じ。

だから、もう一つくらい、良い感じにまとまった人気作が出てきて、評価が上がって、そして過去作も再評価されて……という流れになるはずだった。

僕はそう読んでいた。

 

だから、ここで潰えてしまった時点で、先生が有名になるのは限りなく難しいと僕は思って、なぜか僕はとても冷静に、小路啓之作品を応援するのもやめた。

 

 

 

そうして封印したうちの一つに、「雑草家族」は入っていた。

 

 

③少しだけの復活

 

しかし、2018年になり、突如作品はちょいとばかしの注目を浴びることになる。

ごっこ」の映画化だった。

 

gokko-movie.jp

 

さっき話に出た、「映画化」の話だ。

しばらくお蔵入りしていたが、なんとか公開にこじつけた。

 

しかしこじつけたといっても、本当になんとか、という状態。

世に出すのがいっぱいいっぱい、という状況だった。

 

作品の出来は素晴らしく良かった。

natalie.mu

 

映画雑誌「映画芸術」においても、今年の映画ベスト10に入るほどだった。

そしてなにより、主演の千原ジュニアの演技がよかった。 

 

natalie.mu

↑そして今年の3月ごろ、このごっこを見たスタッフが、千原ジュニアを月9ドラマに採用した。

 

↓結果、ものすごい爪痕を残したのも話題に新しい

www.cyzowoman.com

 

 

それだけ、逸材がそろって、しっかりと評価をなされたが、なにぶん宣伝する金と時間がなかった。

 

映画は宣伝をいかに公開前から、かつたくさんするかで初週の入りが違う。

初週の入りがあれば、ほかの劇場公開も決まる。

逆に初週の入りが悪ければ、ほかでも上映はない。

最近で言えば、あれだけ悪評が出ている「ドラゴンクエスト」の映画ですら、ちゃんと週間ランキングトップ10入りしている。それは宣伝の力なのだ。

それだけ数字が出れば、ほかの劇場でも上映が決まる。悪評が出ていようとも。

 

その逆だったのだ。どれだけいい評判が出ていようとも、数字が出なければ映画の上映は増えない。映画の上映が増えないので、その映画を知っている人がそもそも増えない。なのでランキングもあがらない。よって上映も増えない。悪循環だ。

 

「ファンの力で地道に応援しよう!!」というやり方は、よほどでなければうまくいかない。

映画関係者にも話を聞いたが、「カメラを止めるな!」や「この世界の片隅に」はかなりのイレギュラーで、あんなことはそうそう起こりえないらしい。

 

僕もこの映画が公開されると知って、すぐに東京へ飛んだ。

関係者や色んな人にも漫画を布教した。いろんな話を聞いた。

 

 

(こういうこともやった笑) 

 

僕の中で、少しの希望があった。

 

この映画化を機に、少しは小路啓之作品が再評価される未来もあるんじゃないかって。

 

だから福岡から東京にも行ったし群馬にも行ったし梅田にも行った。

少しでもこの作品について吸収できるならば、この作品が再評価される未来にかかわれるなら、行ってなきゃ損だ。

作品が生まれない以上、もう二度と、こんな機会はないんだから。

 

そう、これはもう最後のチャンスだったのだ。

作家が死んで続編が出ない以上、別媒体で新たに「新作」として世にでて、それをきっかけに話題に取り上げられなければ、もう取り上げられる機会はない。 

 

 

 

前橋は監督に会いに、んで聖地巡りにいった 

 

 梅田は布教しに。笑

 

 

まあいくら個人が頑張っても、なかなか広がらず。

結局映画の公開は終わった。

まだ地道な活動は続いているけれども、公開が終わった以上、なかなか話題に上がるのは厳しいだろう。

 

ここでも僕は少し冷静だった。

ああ、やっぱりだめかぁ、と。

 

 

そうして映画が終わってしばらく経ち、小路啓之最後の遺作「雑草家族」が、僕の前に立ちはだかるのだ。 

 

 

④僕にとって、怖い作品となった遺作

改めて「雑草家族」を紹介しよう。

 

雑草家族 (ヤングジャンプコミックス)

雑草家族 (ヤングジャンプコミックス)

 

 

この本は、小路啓之先生最後の遺作である。

1巻で完結するシンプルな作品である。が。

 

こともあろうに、最後の一話だけ残してお亡くなりになられてしまったのである。

 

だからこのマンガには、最後の一話以外が掲載されている。

その一話も、別にどこかに隠してあるとか、編集が知っているとかではなく、編集にも秘密にしたままだったのだ。

 

だから誰も結末をわかりはしない。

 

僕はそれを開きたくなかった。

 

小路啓之先生は、最後の最後でどんでん返しを入れてくる作家さんだ。

しかも納得する形で。現実を突きつける様に。

「いや、わかるけど、わかるけどさ…なんで…」

という、苦しみにかられる。なんで、この人はこういった行動をしたのか。

そのあと、どうするのか?

筋道立ててない馬鹿が、ただどんでん返しだけを目的に書いているような作品とはわけがちがう。

そのキャラの生きざまとして、最後のどんでん返しを入れているのだ。

 

だから自分の中でなんとなくの納得はあっても、「なんでなんだろう」という疑問は残る。

そういう、とても良い後味を残していく作家さんだったから、最後の一話が書かれていないことで、後味どころか、このマンガに一生引っ張られるくらい悩むんじゃないかと思って、とても怖くて開けなかった。

 

もう続きは出ない。

 

誰に聞こうが、絶対に続きはわからない。オチもわからない。

 

もうそんなら読まなくてもよくね?とか、作品として未完なら読まなくていいじゃんだとかなんだとかいって、ともかく読まなかった。

 

 

けど正直な話、小路啓之先生の新作が出ないことから、目を背けたかっただけなのかもしれない。

僕が読まない限り、これは小路啓之先生の新たな話として残しておける。新作、まあようは、「僕がまだ読んだことがない小路啓之作品」を残しておきたかった、というのはあったかもしれない。

あのワクワクを、取っておきたかったのかもしれない。

先生の次回作を読むワクワクを。

 

 

しかし、最近ぽつぽつと思っていたのだが、小路啓之先生がそんな甘い作りをするだろうか。

「そんな甘い…」というのが何を指すのか、というと、「(オチがわからなきゃさっぱりつまらないような)そんな甘い作り」をするだろうか??ということだ。

 

全作品読んで、これだけ僕が推している先生が、そんな馬鹿みたいな作品作るか?作らない。

オチがわからなくても、かならずその作品は楽しめる。

だいたい残しといてどうするんだ、このまま10年ほおっておくか?

そしたらより期待が大きくなって、このマンガに引きずられ続けることになる。

そっちのほうがよほどこのマンガに引きずられてないか?

ならもう、開けてしまったほうがいいだろう。

 

最後の一話が永遠にわからなくなって、何か残るものがあるはずだ。

 

 

そう思い始めていたので、2年間はなんだったのかというくらい、朝起きて「開けようかな」と、ばりっと、あっさりと、新品のビニールを破いて、漫画を読んだ。

 

 

⑤作家の死と、作品との向き合い方

 

皮肉なことに、このマンガは、ラスト一話を残したことで、逆にめちゃくちゃおもしろくなっていた。

これ、死ぬまで繰り返し読むだろうな。

そう思った。

 

ストーリーは6人家族の一人の、その次女ハコベがレイプされてひどい姿で帰ってくるところから始まる。

 

主人公長男のセリは常識人だが、あとはトンチンカンな娘と母ばかり、父親は引きこもり。

即通報しようとするセリに対して、セカンドレイプを恐れ止める三女、ことなかれ主義母、と、ごたごたもめている中、引きこもっていた父が部屋から出てきてこういう。

 

「父さんは家族一丸となって強姦魔達に復讐することを提案します!!」

 

そんなこんなで、一家まとめて復讐劇に入っていくわけだが、内容のわりにはずいぶんフラットに、コメディに読める。そこがこの小路啓之先生の良さだ。

あらすじだけ見るとエグめに見えるが、言うほどエグくはなく、サクサク読める。

絵柄もコミカルだし、ノリも軽いので。

だもんで、油断するのだ。

読者がみんな。

サクサク読めるじゃん、えぐい話なんてなかったじゃん、こらハッピーエンドで終わり…

 

結局ラスト一話寸前で大大大どんでん返しがあり、おいおいおい!!!と思っている中で、話は打ち切られる。

 

ラスト一話の、前。

この一話がとても大事だ。

これが違和感なく終わっていることで、めちゃくちゃ面白くなっている。

 

だから僕は、ああ、このマンガを読んでよかったなと思う。

 

そんでもって。

別にこのマンガは、オチがわかることが大事じゃねえなと改めて思った。

 

このマンガを読んで、自分ならどうするか?と考えたりとか、キャラを好きになったり嫌いになったり、そういう、オチに至るまでの過程を楽しむことが大事なのだ。

たまにクイズの答えを求めるかのようにオチを必死に探す人がいるが、そのオチがわかることが大事ではないのだ。

 

逆に、オチがわからないことで僕はその過程を永遠と楽しめることになった。まあそう考えれば得な気がしてきた。

 

 

僕の好きな小路啓之先生が最後に残した作品。

作家が死んでも作品は残る。

なら、残ったファンが穴があくまで読んで、解釈して、広げるしかない。

別に、残ったファンが変な使命感を感じて、爆発的ヒットを呼び込もうとしなくていい。

そんなこと1ファンではできない。

むしろ、しっかりと読み込んで、地道にコツコツ広げたほうがいい。

 

 

残ったファンは、別に普通にファン活動を続ければいいのだ。

たいそうなことはしなくていい。

それが次のファンを生むことにつながる。

 

 

というわけで、興味を持ったら是非雑草家族を読んでほしい。

映画ごっこも見てみてほしい。

 

そしてお願いなのが、意見が欲しい。

この作品に触れて、どう思ったかの感想が欲しい。

別にオチの答えが知りたいわけじゃない。

どう感じたかの声をたくさん聴きたい。

 

 

それがたぶん、僕の使命かなと思ったり思わなかったりしている。

 

 

長かったけどここまで読んでくれてどうもありがとう。

 

他の作品もよんでよな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

ポポネポはここで読めるぞ!!!!!!!!!

 

ynjn.jp

 

 

雑草家族 (ヤングジャンプコミックス)

雑草家族 (ヤングジャンプコミックス)

 

 

 

10歳かあさん (MFC)

10歳かあさん (MFC)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メタラブ(1) (モーニングコミックス)